消化器内科
肝臓がん
肝臓がんは長期的な経過管理がとても重要です。JR札幌病院では、肝臓がんに対する最新のEBM(医学的根拠)にもとづいて、消化器内科、外科がチームで、患者さんのQOL(生活の質)を第一に考えた診療に取り組んでいます。
- 監 修
- JR 札幌病院 副院長
消化器内科 / 医療安全推進部長 安達 雄哉先生
「肝臓がん」の基礎知識
1.肝臓の働き
肝臓は体のなかの最大の臓器で、2,500億個の肝細胞と血管の集合体からできています。
肝臓の主な働きは3つあります。
- 体に必要な蛋白の合成と栄養の貯蔵
- 有害物質の解毒・分解
- 食べ物の消化に必要な胆汁の合成・分泌
2.肝臓がんとは
肝臓がんは、肝臓からがんが発症した原発性肝臓がんと、他の臓器のがんが肝臓に転移した転移性肝臓がんに大別されます。
原発性肝臓がんは、肝細胞がんが約90%、胆管細胞がん(管内胆管がん)が約5%です。
※以降は肝細胞がんについて解説します。
3.肝細胞がんの原因
肝細胞がんの原因の約90%が、C型肝炎ウイルス(約75%)、B型肝炎ウイルス(約15%)によるものですが、近年効果的な、C型肝炎、B型肝炎治療薬が開発されたことによって、ウイルスに起因する肝細胞がんは今後減少していくと予測されています。それに対して、アルコール性肝疾患や、脂質の過剰摂取等による非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に起因した肝細胞がんは増加傾向にあり注意が必要です。
4.肝臓がんの症状
肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、肝障害がある程度進行しないと自覚症状はみられません。
〈肝細胞がんの進行症状〉
食欲不振や全身倦怠感、腹部膨満感、尿の濃染、黄疸等がみられます。
※肝細胞がんを早期に発見するためには、定期的に血液検査等で肝機能の状態をチェックすることが大切です。
JR札幌病院が取り組む「肝細胞がん」診療
- 血液検査でAST(GOT)、ALT(GPT)等の肝機能異常を指摘されたことがある
- 過去に輸血や血液製剤の投与を受けたことがある場合には 消化器内科を受診してください。
肝細胞がんの検査・診断
- 血液検査
- AST(GOT)、ALT(GPT)、血清アルブミン等から肝臓の障害度を確認します
- 腫瘍マーカー検査では、肝臓がん特有のタンパク質や酵素(AFPやPIVKAⅡ等)を確認します。
- 画像診断
超音波検査 肝臓の状態や、がんの大きさや個数等を精査します。 造影CT検査
造影MRI検査
PET-CT検査がんの性質や分布、周辺臓器への浸潤、転移等を精査します。 - 肝腫瘍針生検:X線ガイド下で、がん組織に直接針を刺して 組織を採取し、病理検査で確定診断を行います。
肝細胞がんの治療
「肝癌診療ガイドライン」では肝予備能と、腫瘍の状態から推奨する治療方法が示されています。
肝細胞がんの再発予防
肝細胞がんは手術でがんを切除できたとしても、多くの症例で再発がみられます。しかし、肝細胞がんの再発に対しては、手術や、ラジオ波焼灼療法等、初回に行った治療を再度行うことが可能ですので、定期的な経過観察により再発を早期に発見することが大切です。
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