特徴・特色
非侵襲性の検査で正確な診断を行い、手術の際には患者様の全身状態を考慮して、低侵襲の手術術式を選択しています。術後合併症を起きないよう細心の注意を払っております。当院は種々の診療科を有し、専門の先生が診療しているので、合併疾患を有している患者様については、術前から専門の先生と相談して、治療を勧めております。
肺癌手術では、臨床的にリンパ節転移ないとされるstageⅠで胸腔鏡下肺葉切除およびリンパ節郭清術を施行しています。最近では肺門リンパ節に転移のあるstageⅡに対しても胸腔鏡手術を施行しています。胸腔鏡手術では皮膚切開は4cm 、2cmと2cm の3箇所で手術を施行し、胸壁にやさしい手術で、胸壁の動きは術後障害されず、術後の疼痛も軽減されます。肺機能温存の観点から、胸腔境下区域切除にも積極的に取り組んでいます。また開胸手術では、皮膚切開は12cmで施行しますが、できる限り筋肉(広背筋)は温存しています。
自然気胸手術では皮膚切開は2cmの2~3箇所で胸腔鏡手術を施行しています。
外来診療
月曜日、火曜日の午前8時30分から11時まで外来受付をしています。どうしてもこの時間に来院できない場合には、事前に血管・呼吸器外科外来まで電話いただければ配慮いたします。外来診療日には、下肢静脈瘤専門外来を開設しています。できる限り早く正確な検査診断を行い、治療方針を説明できるように努力しています。
診療内容の概要
1) 呼吸器外科疾患
肺癌、自然気胸、膿胸、縦隔腫瘍、胸壁腫瘍、横隔膜疾患などの呼吸器外科治療を、呼吸器内科との連携で施行しております。患者様の手術侵襲をできる限り少なくするために、低侵襲性で胸壁にやさしい胸腔鏡手術に積極的に取り組んでおります。現在手術症例のほとんど9割以上が胸腔鏡手術となっています。肺癌手術に対する外科治療については、札幌医大第二外科呼吸器外科チーム(渡辺敦准教授)の協力のもとに施行しています。
手術前に呼吸器内科、病理科および胸部外科の3科でカンファレンスを行い、画像診断、手術適応、術前全身状態について検討し、手術術式を決定しています。また病理結果についても3科でカンファレンスを行い、画像診断、手術適応、術前全身状態について検討し、手術術式を決定しています。また、病理結果についても3科でカンファレンスを施行しています。
また麻酔科医に協力していただいて、術後は持続的硬膜外ブロックをしていただき、術後の患者様の疼痛を軽減しています。
2) 動脈血管疾患
下肢の冷感、間歇性跛行、安静時疼痛、潰瘍、壊死を主訴とする下肢閉塞性動脈疾患に対し、まず問診、触診および血管診断装置バゾガード(TFI、ABI、脈波、母指血圧)、皮膚還流圧、サーモグラフィー、血管エコーなどの非侵襲的な検査を施行し、次に64スライス造影CTなどの検査で正確な部位診断を行っております。治療においては、まず薬物治療を行い、適応があればカテーテルによる血管形成拡大術(バルーン、ステント)を施行しています。カテーテル治療が困難な症例の場合、外科的バイパス術を施行しています。
また腹部大動脈瘤、腸骨動脈瘤に対し外科治療を施行しています。
3)静脈血管疾患
- 下肢静脈瘤に対しては外来にて血管エコー、サーモグラフィーを施行し、下肢の表在静脈と深部静脈の循環を把握診断し、治療方針を決めています。治療はストッキング治療と手術治療があります。下肢静脈瘤に対する手術治療は、大伏在静脈瘤に対しては、全身麻酔下に鼠径部から膝下までの大伏在静脈瘤抜去切除術を施行しています。切開は3cmと2cmの2箇所です。次の日に下腿の静脈瘤に対し硬化療法を施行しています。小伏在静脈瘤では、腰椎麻酔下で膝裏から下腿下1/2までの小伏在静脈瘤を抜去切除しています。切開は2cmの2箇所です。次の日に下腿の硬化療法を施行しています。両側下肢静脈瘤でも一期的に両下肢に対し手術しています。どちらの方法でも入院期間は3~4日間です。患者様の希望を考慮し、相談のうえ入院日数を決めています。他の側枝静脈瘤、網目状静脈瘤、クモの巣状静脈瘤は外来で硬化療法を施行しています。どのタイプも術後は再発防止のため、ストッキング治療を勧めています。
- 下肢のむくみ、だるさ、かゆみなどを訴え、外来を受診なさる患者様が増加しています。慢性下肢静脈不全(下肢うつ滞症候群)と呼ばれる疾患の場合が多いです。もちろん全身疾患に合併する下腿のむくみ、浮腫とは鑑別が必要です。血管エコー、サーモグラフィーなどの非侵襲的検査で診断できます。慢性下肢静脈不全は深部静脈弁不全(弁がゆるんでいる)によることが多く、治療はストッキング圧迫治療で効果があります。外来には医療用ストッキングを各種そろえています。患者様に好評を博しております。重症症例(潰瘍形成症例)では、深部静脈弁形成術、リントンの筋膜下不全交通枝結紮術を施行する場合があります。
- 突然の下肢の腫脹、痛み、発赤、熱感などが出現した場合には、直ちに外来を受診してください。下肢深部静脈血栓症の疑いがあります。放置すると歩行できなくなり、肺梗塞を合併し致命的になることがあります。入院して抗凝固療法、抗血小板療法および弾力包帯による圧迫治療が必要で、入院期間は2週間程度になります。