特徴・特色
当科では口腔外科・口腔内科的疾患の治療ならびに有病者を対象とした一般歯科治療を行っております.総合病院ならではの,多数の疾患を持った患者さんをはじめ,当科を受診された患者さんのより良い口腔環境を維持していくため,患者さんの求めているものに耳を傾け,また,ご紹介頂いた先生のご意向に沿う治療を心がけております.また,手術までの待期期間を可能な限り短くしたいと考えており,初診から手術まで1か月以上お待たせすることがないよう,手術の枠を多く確保しております
口腔外科的疾患
口腔顎顔面外傷,顎口腔領域の腫瘍や嚢胞,埋伏智歯等の抜歯,歯の移植・再植,インプラント,顎関節症などの診断・治療を行っております.特に当科では歯の移植・再植を積極的に行っており,通常であればブリッジや義歯になってしまう症例についても,この手術を行うことによりご自身の歯でのかみ合わせの回復が可能ですのでお勧めしております.
手術の管理方法に関しましては全身麻酔,静脈麻酔,局所麻酔を選択できます.
口腔内科的疾患
口腔乾燥症,口腔粘膜疾患,唾液腺疾患,味覚異常等の診断・治療を行っております.
高齢者・要介護者・有病者の歯科治療、口腔ケアの指導
近年、高齢者、要介護者、有病者の健康問題の中で、食べることの重要性、ひいては老人の痴呆と咀嚼(かむこと)の関係がクローズアップされてきており、これらの患者さんの歯科治療、口腔ケアの必要性が高まってきています。従来、外来中心であった歯科治療も、全身疾患を持った患者さんを入院管理下で、他科との協力により歯科治療を行うケースも増加してきており、当科もこのようなケースを多く扱っております。
一般歯科
一般の歯科医院では治療が難しい持病をお持ちの方を中心に虫歯や歯周疾患の治療も行っております。一般の歯科医院で対応可能な患者様につきましてはかかりつけの歯科医院での治療を勧めさせて頂いております。
検査依頼
地域医療の二次的機関としての機能を発揮すべく、各疾患の治療のみならずCT,MRl,USG等の検査依頼も受けております。
静脈麻酔(静脈内鎮静法)について
当科では通常全身麻酔下で行うような手術に対しても、可能であれば静脈麻酔(静脈内鎮静法)を用いています。その理由は、入院期間が短く、仕事や学校など日常生活への影響が少ないこと、経済的負担が軽減されること、また全身麻酔に比較して、精神的・肉体的な負担が軽いことなどが挙げられます。
年間症例数は600例程度です。親知らずなどの抜歯、困難な抜歯、歯の移植や再植、嚢胞(のうほう)や腫瘍の摘出など、口腔外科の治療で通常より少し大変な治療を受ける方に最適です。また、歯科治療に対して恐怖心や不安がある方、吐き気を催す方、緊張で血圧が上がりやすい方などにも効果があります。
腕の静脈に点滴路を確保し、鎮静剤を少しずつ投与します。緊張感や不安感がほぐれて徐々に眠くなりますが、話しかけると会話できる程度の眠さです。リラックスした状態になってから、局所麻酔注射を行い、治療を開始します。そのため、血圧や脈拍数は通常より安定した状態で推移します。また、治療途中に会話はできるものの、会話や治療した内容をあまり覚えていないことがほ多いです。これを健忘効果と呼んでおり、多くの方が『治療のことをあまり覚えていない。治療のことを意識せず、楽にできた』と感想をおっしゃっています。
全身麻酔ではありませんが、これに準じた管理方法となりますので、術前に詳細な問診や検査(血液検査、心電図など)が必要です。また術中は血圧や脈拍数、パルスオキシメーターによる経皮的酸素飽和度、心電図などのモニターで監視しています。高齢者や有病者では酸素投与を行うこともあります。鎮静剤の効果がしばらく残りますので、術後は病棟のベッドでゆっくり休んでいただきます。
原則は1泊入院ですが、場合によっては日帰りでの手術も可能です。
検査依頼
地域医療の二次的機関としての機能を発揮すべく,各疾患の治療のみならずCT,MRl,USG等の検査依頼も受けております.
高齢者・有病者・要介護者の歯科治療
当院に入院あるいは通院治療されている高齢者・有病者・要介護者の方,また,一般の歯科医院では歯科治療が難しい併存疾患をお持ちの方を対象に,虫歯や歯周疾患の治療,義歯作成などの一般的な歯科治療を行っています.院内他科との連携協力のもと,安心安全に配慮し,全身管理のうえ行うようにしています.入院管理が必要な場合もあります.一般の歯科医院で対応可能な患者様,審美歯科的な治療を希望される患者様につきましては,かかりつけの歯科医院や審美歯科医院での治療を勧めさせて頂いております.
周術期口腔機能管理
対象:
① 全身麻酔下の手術を受ける方
・頭頚部領域,呼吸器領域,消化器領域などの悪性腫瘍の手術 ・臓器移植手術
・ 心臓血管外科手術 ・ 脳卒中に対する手術 ・造血幹細胞移植
・人工股関節置換手術などの整形外科手術 ・感染予防が必要な手術 など
目的:口腔内細菌による合併症(手術部位感染,病巣感染,肺炎などの全身的な感染),手術の外科的侵襲や薬剤投与等による免疫力低下により生じる病巣感染,人工呼吸管理時の気管内挿管による誤嚥性肺炎等の術後合併症や脳卒中により生じた摂食機能障害による誤嚥性肺炎や術後の栄養障害の予防,動揺歯の保護・抜歯,歯科疾患の応急処置
②化学療法(骨髄移植,骨修飾薬投与患者含む)
③放射線治療
④緩和ケア
できるだけ早期から歯科口腔外科的な介入・管理を行うことで,術後肺炎や感染症の予防,
口腔の合併症(口腔粘膜炎,口腔乾燥症,味覚障害など)の軽減・予防,入院期間の短縮につながるとされています.症例によっては,周術期のみならず,手術終了退院後,化学療法終了後,放射線治療後も介入・管理・歯科治療を継続します.
実際に行っていること
① お口全体のチェックと応急処置(X線撮影,虫歯,歯周病,義歯,摂食嚥下など)
② 専門的なクリーニング
③ セルフケア(ブラッシング・うがい),義歯の取り扱いの確認と指導
④ 口内炎・口腔乾燥症の対処法と指導
口腔機能低下症
加齢だけではなく,疾患や障害など様々な要因によって,口腔の機能が複合的に低下している疾患です.放置していると噛めない・飲み込みづらい(咀嚼障害・摂食嚥下障害)など口腔の機能障害に陥り,さらに,低栄養やフレイル,サルコペニアを進展させるなど全身の健康を損ないます. 特に,高齢者においては,むし歯や歯周病,義歯不適合などの口腔の要因に加えて,加齢や基礎疾患によっても口腔機能が低下しやすく,また,低栄養や廃用,薬剤の副作用等によっても修飾されて複雑な病態を呈することが多くみられます.そのため,個々の高齢者の生活環境や全身状態を見据えて口腔機能を適切に管理する必要があります.
実際に行う検査:
口腔衛生状態,口腔乾燥,咬合力,舌口唇運動機能,舌圧,咀嚼機能,嚥下機能の7項目.
痛みを伴うものはなく,20~30分程で終了します.
50歳以上の方で口腔機能低下があれば,健康保険の適用です.
指導内容:
検査結果をお渡しします.今後の対策とその具体的な方法について,相談のうえお話します.
対策の効果を評価するために,6か月~12か月後に再検査を行うことをお勧めします.
創成川DCについて
『より質の高い歯科口腔外科治療を有病者・高齢者へ提供する』を目的に,
2016年1月に創成川DC(Dental Conference)という勉強会を立ち上げました.
原則として毎月第2水曜日の18~19時の時間帯に定例会を行っています.
内容は歯科的なものにこだわらず,院内外の医師,看護師,薬剤師,歯科衛生士,
医療機器関係者の方々にもご講演をお願いしてきました.
気軽に参加していただきたいと考えており,参加費は無料としています.
詳細はこちらクリックしてください.
その他
実例から考える歯科用局所麻酔薬の選択 ・ 使い分け~臨床医へのアンケート結果をふまえて~