特徴・特色
歯科口腔外科は、虫歯や歯周疾患をはじめ、口腔内や顎骨、顎関節疾患など、顎口腔領域疾患を扱っております。
近年、高齢者、要介護者、有病者の健康問題の中で、食べることの重要性、ひいては老人の痴呆と咀嚼(かむこと)の関係がクローズアップされてきており、これらの患者さんの歯科治療、口腔ケアの必要性が高まってきています。従来、外来中心であった歯科治療も、全身疾患を持った患者さんを入院管理下で、他科との協力により歯科治療を行うケースも増加してきており、当科もこの様なケースを多く扱っております。
一般歯科 高齢者・要介護者・有病者の歯科治療、口腔ケアの指導
顎関節症、顎変形症
顎顔面外傷、顎口腔内のう胞や腫瘍、埋伏智歯等の抜歯、歯牙の移植などの口腔外科的疾患
口腔乾燥症、口腔粘膜疾患、唾液腺疾患、味覚異常、口臭等の口腔内科的疾患
また、地域医療の二次的機関としての機能を発揮すべく、各疾患の治療のみならずCT,MRl,USG等の検査依頼も受けております。さらに日本口腔外科学会認定医制度研修機関にもなっております。
総合病院ならではの、多数の疾患を持った患者さんをはじめ、当科受診の患者さんのよりよい口腔環境を維持していくため、患者さんの求めているものに耳を傾け、また、紹介いただいた先生の意向に沿う治療を心がけていく所存でありますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
静脈麻酔(静脈内鎮静法)について
歯の治療を楽に受けたい方におすすめ 静脈内鎮静法(静脈麻酔)
歯科口腔外科では、多くの患者様に、静脈内鎮静法(静脈麻酔)を用いて治療を行っています。年間症例数は600~700例程度です。親知らずの抜歯、困難な抜歯、歯の移植や再植、嚢胞(のうほう)や腫瘍の摘出など、口腔外科の治療で通常より少し大変な治療を受ける方に最適です。また、歯科治療に際して恐怖心や不安感が高まる方、吐き気を催す方、緊張で血圧が上がりやすい方などにも効果があります。
腕の静脈に点滴路を確保し、鎮静剤を少しずつ投与します(図1)。緊張感や不安感がほぐれて徐々に眠くなりますが、話しかけると会話できる程度の眠さです。リラックスした状態になってから、局所麻酔注射を行い、治療を開始します。そのため、血圧や脈拍数は通常より安定した状態で推移します。 また、治療途中に会話はできるものの、会話や治療した内容を余り覚えていないことがほとんどです。これを健忘効果と呼んでおり、多くの方が『治療のことを余り覚えていない。治療のことを意識せず、楽にできた』と感想をおっしゃっています。
全身麻酔ではありませんが、これに準じた管理方法となりますので、術前に詳細な問診や検査(血液検査、心電図など)が必要です。また術中は血圧や脈拍数、パルスオキシメーターによる経皮的酸素飽和度、心電図などのモニターで監視しながら治療を行います。高齢者や有病者では酸素投与を行うこともあります。鎮静剤の効果がしばらく残りますので、術後は病棟のベッドでゆっくり休んでいただきます。高齢者、遠方にお住いの方、狭心症や脳梗塞、糖尿病など配慮すべき基礎疾患のある方、帰宅時付き添いのいない方は術後1泊入院としています。実際には、術後の痛みや出血のことなどを考慮して入院される方がほとんどです。抜歯などの治療は保険適応となります。
当科では、通常全身麻酔下で行うような手術に対しても、可能であれば静脈内鎮静法(静脈麻酔)を用いています。その理由は、入院期間が短く、仕事や学校など日常生活への影響が少ないこと、経済的負担が軽減されること、また全身麻酔に比較して、精神的、肉体的な負担が軽いことなどが挙げられます。
興味や関心のある方は、担当医に是非ご相談ください。