消化器内科
すい臓がん
すい臓がんは医療が進歩した今でも早期発見や根治が難しいがんです。
JR札幌病院では最新機器を駆使した迅速な検査と、患者さんのQOL(生活の質)を重視した、多職種によるチーム医療を提供しています。
- 監 修
- JR札幌病院
消化器内科 科長 志谷 真啓先生
JR札幌病院が取り組む「すい臓がん」診療
1.すい臓の働きとは
すい臓は、胃の裏側にある、長さ約 15 ~ 20cm の 細長い臓器です。
右側の太い部分から「膵頭部」「膵体部」「膵尾部」といいます。
すい臓の役割は主に2つあります。
- 糖質や脂肪を分解する消化液「膵液」を分泌する。
- 糖の代謝に必要な「インスリン等」のホルモンを分泌し血糖値をコントロールする。
2.すい臓がんとは
- すい臓がんの多くは、膵管の細胞ががん化することで発生します。
- すい臓がんは部位別死亡数(男女計)では、2019年に肝臓がんを抜いて第4位になりました。この30年で約2.7倍に増加しています。
3.すい臓がんの危険因子
すい臓がんの発症は、まだわかっていない事も多いですが、若年時からの肥満、喫煙、糖尿病などがリスク因子として報告されています。すい臓がん発症と強い関連が認められるものとして、膵のう胞や慢性膵炎があります。
危険因子 | 発症リスク |
---|---|
喫 煙 | 1.68倍 |
2型糖尿病 | 1.94倍 |
近親者(親・姉弟・子)に1名すい臓がん罹患者がいる | 4.5 倍 |
慢性膵炎 | 13.3 倍 |
膵のう胞 | 22.5倍 |
出典「膵癌診療ガイドライン2019年版」より引用
4.すい臓がんの症状
すい臓がんは初期には特徴的な自覚症状がないことから、早期発見が難しいがんといわれています。
- 「膵癌診療ガイドライン2019年版」によれば
- すい臓がんと診断される半年前から25%の患者さんで腹部違和感がみられた。
- 糖尿病はすい臓がんの60~81%に認められ、糖尿病診断後2年以内にすい臓がんと診断されることが多い。
- がんのできる部位としては、膵頭部が78%と最多。
- 膵頭部がんは、黄疸の症状がみられることから、膵体尾部がんに比べて早期に発見される傾向。
すい臓がん患者における初発症状
症状 | 割合(%) |
---|---|
腹痛 | 78〜82 |
早期膨満感 | 62 |
黄疸 | 56〜80 |
体重減少 | 66〜84 |
背部痛 | 48 |
Sharma C, et al. World J Gastroenterology. 2011;17;867-97.50)より引用変換
5.すい臓がんの検査・診断
6.すい臓がんのステージ(病期)判定と治療の選択肢
難治がんの1つであるすい臓がんでは、早期がんであっても手術、薬物療法、支持療法、緩和ケア等を集学的に行うことが重要です。
7.すい臓がんの治療
- がんに対する外科的治療(手術)、薬物療法、放射線治療を集学的に行います。
- 当院では早期から緩和ケアチームが関わるなど、多職種が連携して診療にあたります。
8.がん治療における「緩和ケアチーム」の参加
- すい臓がんだけでなく、全てのがん治療に言えることですが、病変に由来する症状のほかに、治療による合併症や副作用といった身体の苦痛、さらには精神的な苦痛が生じ、患者さんの生活や心に大きな影響を与えます。
- 緩和ケアは、がん治療における患者さんの身体の苦痛や、こころの不安を緩和するためのもので、当院のがん治療においては診断時から関わり、患者さんの生活の質(QOL)を高めることを目的としています。
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