呼吸器内科
慢性閉塞性肺疾患
呼吸状態の低下は患者さんの生活の質(QOL)を低下させます。JR札幌病院では、最新の知見にもとづいて、呼吸状態の適切な管理と、急性増悪の予防に取り組んでいます。
- 監 修
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呼吸器内科/内科診療部長
医療技術部長 伊藤 峰幸先生
JR札幌病院が取り組む「慢性閉塞性肺疾患」診療
1.肺の働き
- 肺は呼吸を通して、酸素を取り込み、体の中で不要となった二酸化炭素を吐き出すガス交換を行う臓器です。
- 鼻や口から入った空気は、気管から、気管支を経て左右の肺に入り気管支の末端に、ガス交換を行う肺胞があります。
2.慢性閉塞性肺疾患とは
- 慢性閉塞性肺疾患は、空気の通り道である気道が炎症を起こす「慢性気管支炎」と、酸素を取り込む肺胞が壊れることで起きる「肺気腫」の2つをいいます。
- Chronic=慢性、Obstructive=閉塞、Pulmonary=肺、Disease=疾患の頭文字から、COPDと言われています。
- 日本におけるCOPD 有病率は 40 歳以上の8.6%、530万人と推計されていますが、受診者はその5% 約22万にしかすぎません。
3.慢性閉塞性肺疾患(COPD)の原因
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の最大の原因は喫煙です。
- 喫煙開始年齢が若いほど、1日の喫煙本数が多いほど慢性閉塞性肺疾患(COPD)になりやすく、進行しやすいと言われています。
- 非喫煙者であっても、タバコの煙にさらされる環境下にいる受動喫煙者はリスクが高いとされています。
- 他の要因として、有害物質にさらされる環境下での労働やpm2.5等の大気汚染物質もリスク因子であることが明らかになっています。
4.慢性閉塞性肺疾患(COPD)の症状
- 注意すべき症状として「息切れ」「咳」「痰」があります。
息切れがある場合には右表でどのグレートに当てはまるかを確認し受診時医師に伝えてください。 - 中等度以上のCOPDでは肺がんの合併症のある方が20%にも達し、肺がんとの関連性が指摘されています。
5.慢性閉塞性肺疾患(COPD)の検査・診断
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の患者さんには、長期間の喫煙事実があるため、まず最初に肺がんを鑑別除外する
胸部レントゲン検査やCT検査を行います。(胸部レントゲン検査やCT検査は進行したCOPDの診断に役立ちます)
6.慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、破壊された肺胞等を治療でもとの状態に戻すことはできません。
- 治療は禁煙からはじめ、現在の呼吸状態を改善し、将来の増悪リスクを回避することにあります。
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